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竹内 末広; 松田 誠
Proc. of 8th Workshop on RF Superconductivity, 1, p.237 - 247, 1998/00
原研タンデム・ブースターは46個の1/4波長型超電導加速空洞からなる重イオンリニアックで1994年に完成し今日まで大きなトラブルもなく順調に稼動しており、週末の利用も運転員を必要としないほど長時間にわたって安定である。問題は「Q-disease」と呼ばれるQ値低下の現象で空洞の表面処理中に水素が空洞のNb表面に吸着し、空洞をゆっくり室温から液体ヘリウム温度に冷却する途中130~90Kで水素化物が表面に析出するためにQ値低下の症状が出るものである。これについては130~90K間を分割冷却(空洞を3グループに分けて順次冷却する方法)によって冷却速度を約3倍増し、off-lineテスト値の30~57%に落ち込んでいたQ値を64~79%まで回復することに成功している。この結果加速用空洞の加速電界の平均は5.4MV/m(1997年7月現在)となっており、現在も高い性能を維持している。
竹内 末広
Proc. of 22nd Linear Accelerator Meeting in Japan, p.311 - 313, 1997/00
原研タンデムブースターは最適入射速度が0.1cの1/4波長型超電導加速空洞を40台用いた独立位相可変型リニアックで、入射速度の下限は0.05cである(c=光度)。0.05c付近の低速領域では空洞の中で加速のみならず減速をも受けるため、速度変化を考慮して通過時間因子=0付近(0.05c付近)でのエネルギー利得、速度増分を計算した結果、同期位相を変えることによって加速と減速が反転する入射速度が変化することがわかった。これを利用すると通過時間因子が負の低速領域なら通過時間因子=0の線を越えて通過時間因子が正の通常加速範囲まで加速が可能であることを示した。ただし、加速効率は極めて低い。加速効率は加速電界に比例するため、加速電界をできるだけ高く(5MV/m以上)する必要がある。計算では塩素イオン(Cl)を用いた。
竹内 末広
KEK-89-21, p.151 - 156, 1990/01
原研物理部では高周波超電導に関連した研究活動として(1)タンデム加速器後段加速器としての超電導ブースターの開発、(2)金属酸化物超電導体を用いた超電導空洞の研究、(3)超電導空洞を用いた自由電子レーザーの開発研究が進められている。この高周波超電導に関する国際ワークショップで上記3テーマについて計画と現状を報告する。要点を挙げると(1)はニオブ製1/4波長型超電導空洞の開発が成功し最大で7VW/mという高い加速電界を得た。そしてブースターの本格的な製作が始まった。(2)は実際にYBaCuOのバルク材を用いて空洞の試作に成功し高いQ値が得られた。(3)については超電導空洞について現在予備研究中であり、計画について述べる。
竹内 末広; 石井 哲朗; 池添 博; 冨田 芳明
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 287, p.257 - 262, 1990/00
被引用回数:12 パーセンタイル:75.6(Instruments & Instrumentation)原研ではタンデム加速器の後段ブースターとして30MV級の超電導リニアックを開発している。リニアックは40台の1/4波長型ニオブ製超電導空洞から成り、空洞の周波数は130MHz、最適イオン速度は0.1C(光速の10%)である。リニアックの前には260MHzと130MHzの超電導空洞からなるバンチャーが置かれタンデムからの(直流)のイオンビームの60%がパルス化される。リニアックの後にはデバンチャーを置きエネルギーを揃えてから分析マグネットを通して実験室にビームを導びく。これまでにバンチャーとデバンチャーを製作しており、超電導空洞は最高7MV/mという高い加速電界を達成した。冷凍機は液体窒素の補助を必要としない系でしかも80Kのクライオスタット熱シールド用ラインをもち2台の冷凍機に分ける。以上の開発計画の概要、進展状況、超電導空洞の性能等を述べる。
竹内 末広
Proc. of the 2nd Int. Symp. on Advanced Nuclear Energy Research; Evolution by Accelerators, p.357 - 361, 1990/00
原研物理部ではタンデム加速器からの重イオンビームのエネルギーを更に加速する超電導ブースターの開発を行っている。ブースターは40個のNb製1/4波長型超電導空洞からなるリニアックである。既に4個の超電導空洞をバンチャー、デバンチャー用に製作し、テストの結果どれも5~6MV/mという高い加速電界をわずか4ワットの高周波入力で得ることができた。この5MV/mは加速電圧として0.75MVに相当する。したがって30MV相当のリニアックを実現することができる。リニアックは既に製作が行われており1992年3月に完了する予定である。バンチャーは、130MHzと260MHzの超電導空洞から成りタンデムからのビームを約60%バンチする予定であり、リニアックで加速後デバンチャーでエネルギーを揃えて90゜偏向電磁石でエネルギー分析しCWビームを実験室へ導く予定である。建家・冷凍機等は1992年3月まで完成し、1993年初頭にはビームテストを行う予定である。